知財調査の重要性 – 商品開発と知的財産 –

任天堂の岩田聡社長が他界されました。謹んでご冥福をお祈りします。


今日は同じ任天堂の横井軍平さんのインタビュー記事をご紹介します。

任天堂といえば、言わずと知れた日本を代表するゲーム機器及びゲームソフトのメーカーです。ファミコン、ゲームボーイ、Wiiなど大ヒットとなったゲーム機は数知れません。

上記記事中、横井さんはおもしろいことを話されています。


開発をするときに、他社のもっている知的財産権を侵さずにつくるって、ほんとうはものすごくむずかしいわけです。日本の電機メーカーなんかはお互いにそれがわかっているから、クロスライセンス契約なんかを結ぶ。

それ以前というのは、けっこうイケイケで、他者の特許や実用新案などを考えずにものをつくっていたような時代もあったわけです。企業の法務部にいた人がいってましたけど、昔の法務部というのは、開発部がむちゃくちゃをやるので、それの尻拭いをする、そのために外と戦うのが法務部みたいな部分があったと。

それがあるときから、知的財産権がうるさくなって、それを侵さないように監視する社内警察のような部署になってしまったと。180度やっていることの方向性が違ってしまったといっていました。

新しい商品を開発した、さあ販売するぞという段階で、実は他社の知的財産権(特許権や実用新案権、意匠権など)を侵害していると気付くケースは少なくありません。そうなるとそのまま商品は販売できませんから、仕様変更するか、ライセンスをもらうか、無効審判などで対象となる権利を潰すか・・・など面倒な手続きを強いられます。当然商品の販売時期が遅れ、機械損失が生じます。


販売前に気付けたらまだましで、販売後に権利者から指摘されて気付いた場合などは、訴訟対応など高額な費用が発生する可能性があります。

上記横井さんのお話は、天下の任天堂での経験談です。常に時代の最先端をいく商品を開発し続ける任天堂でさえ、新しい商品を作ると他人の知的財産権を侵害していることが多いと言っているのです。

これが他人の商品の模倣品だった場合はどうでしょうか。例えば、中国で製造され、流通する商品。

私はこれまでに、中国や香港で開催される展示会に数十回参加しました。もちろん住んでいる浙江省・義烏では、福田市場に数えきれないほど行きました。無数の中国商品を目にしてきましたが、中国メーカーが独自で開発した商品は、ほとんど見たことがありません。ゼロと言ってもいいかもしれません

中国で出会う商品は、ほぼ100%、模倣品です。日本や欧米など先進国のメーカーが開発した商品を真似た商品です。それをまるまるコピーするか、多少手を加えて変形させた商品。それしかないと思っていただいてOKです。

少し話が逸れますが、なぜこれほどまで模倣品が多いのかというと、そこには中国の商売の特徴があります。日本では「働く」というと、どこかの企業に就職することを想定するのが普通です。多くの場合は大企業に雇用されることを第一に考えますし、それ以降でもどこかの中小企業に雇用されるケースがほとんどです。

一方で中国では、人口に対して大企業がそれほど多くないこともあり、企業に就職することはいくつかある選択肢のひとつに過ぎません。企業に就職せずに、自分で事業を起こすことが日本よりもよっぽど盛んです。こうした中国の特徴は、13億総個人事業主(13億総老板)などと表現されることもあります。

つまり多くの商品が、家族経営のミニ工場で作られるか、そうした工場で作られた部品を中規模の工場で組み立てているだけなので、そもそも商品開発などしません。せいぜい売れている商品を買ってきて分解して似た商品を作ろうとするだけなのです。

さて、こういうわけで模倣品しかない中国市場ですが、もちろんすべての模倣品が他人の知的財産権を侵害するわけではありません。例えば既に権利が切れている技術・デザインや、そもそも権利が発生していないものもあります。あるいは、日本では特許権などを取得しているが、中国では権利がないため、中国の工場で製造・販売することは問題がないこともあります。

日本である商品を製造する人、あるいは外国で製造された商品を日本に輸入する人は、その商品が日本で、他人の知的財産権を侵害するかしないか、十分に調べる義務があります。特許法、実用新案法、意匠法、商標法、すべてにそう書いてあります。他人の権利を知らずに侵害した場合に、「そんな権利が存在するなんて知らなかった」という言い訳は通用しません。日本で商売する以上、それを事前に調べる義務があるのです。それがいまの日本という国の価値観です。


このような義務が課せられているにもかかわらず、中国製品を輸入する方の多くは、そうした調査を一切していません。つまり権利侵害をするかどうか、要は違法かどうかがわからない商品を輸入し、日本で販売しているのです。最先端の商品を開発する企業でさえ多くの商品が権利侵害をするのに、模倣品しかない中国商品を輸入する人が権利侵害を一切調査していないのです。これは非常に恐ろしいことです。

インターネットが発達し、仕入れも販売も、誰もが自宅にいながら手軽にできる時代になりました。しかし、いくらそうした部分が簡略化されたとしても、知的財産についての調査義務までが免除されたわけではありません。自分が輸入し、販売する商品が違法でないことを確認してから販売することで、日本で商売をする人として最低限の土俵に乗ることができるのです。


横井さんのお話にあるように、大企業ならばそうした調査は社内の法務部や知財部で行うことが多いです。もちろん重要な案件や複雑なケースでは、弁理士に調査委を依頼します。その調査費用は、ひとつの法律(さらにはその中で一つの主題)について、数十万円かかるのが普通です。商品によっては複数の法律や主題についての調査が必要な場合もあり、調査費用が数百万円になることもあります。こうしたコストを掛けるかどうかはともかく、いま日本で商品を販売するためには、そのような内容の調査をしなければならないのです。

知的財産権の侵害性の調査は、弊所でも行っています。ある商品を輸入・販売することが、他人の知的財産権を侵害しないか調査し、調査報告書を作成いたします。卸先の会社や店舗から、このような調査報告書の提出を求められることがあると思いますが、弁理士による知的財産権調査報告書は信頼感があり、大変ご好評をいただいています。

現在、お試しで、産業財産権四法(特許法・実用新案法・意匠法・商標法)の調査を、初回限定20万円で承っています(※平成27年9月末まで)。四法セットで20万円の価格は、業界標準の80-70%オフの大特価です。

万一販売後に侵害が発覚すると、訴訟対応で100万円単位のコストがかかります。できるだけ早い段階で調査しておくと、結果として安く済みます。重要な商品、大量生産する商品、大切な取引先に卸す商品は、是非知財調査を行うようにしてください。

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