義烏(イーウー)の偽物事情 – 日経新聞より –

少し古い記事ですが、5月31日、義烏が日経新聞アジア版で紹介されました。

ざっくり内容を紹介すると、義烏とスペインのマドリッドを陸路(列車)で繋ぐ路線が昨年開通して、義烏の商品をヨーロッパに安く運ぶルートが確立した、これは現代版シルクロードと呼べるものであり、義烏はその始点として重要な役割を担うというものです。


同時に記事では、義烏の偽物事情についても言及しています。実は義烏から出荷する商品は、義烏で通関ができます。義烏は内陸で海や川には面していませんが、義烏港という税関(海关)があり、ここで通関した貨物はそれ以降は外国貨物として扱われます。

税関である以上偽物の輸出を止めなければならないのですが、記事によると、検査をするのは全量の5%に過ぎず、外向けのパフォーマンスでしかないとされています。実は5%の検査率というのは中国の輸出通関の平均的な開封検査率(1%以下)と比べると非常に高いのですが、いかんせん義烏には中国全土から偽物が集まってくるので、そもそも貨物が偽物である確率が異常に高く、この程度では有効に偽物を抑えられません。義烏が中国有数の偽物の発信地であり、マドリッドがヨーロッパ最大の偽物のハブとなっていることを考えると、義烏にはより強力な通関システムが求められているといえます。


もちろんこれはヨーロッパだけの問題ではありません。中国の模倣品の被害を最も受けているのは、日本です。

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2014年度模倣被害調査報告書(特許庁)より引用
上図によれば、中国産の模倣品の被害を最も被っているのは中国自身であり、その次は日本です。つまり中国の模倣品により最も損害を受けている外国は日本なのです。
このような偽物の多くは広東省(広州・東莞・深圳など)や浙江省(杭州・温州・義烏など)を中心とする中国全土の工場で製造され、そのまま輸出されるか、一度義烏に集められ、世界各国のバイヤーを介して世界中にばら撒かれます。例えば下記図で明らかなように、

中国の主な偽物製造都市
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2014年度模倣被害調査報告書(特許庁)より引用
偽物の製造地では広東省と浙江省が突出しており、また、
中国の主な偽物経由都市
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2014年度模倣被害調査報告書(特許庁)より引用
製造された偽物は、広州や義烏から直接輸出されるのに加え、上海・香港・杭州などの主要港を経由して世界中にばら撒かれていることがわかります。

このように、義烏発の偽物は世界中で問題になっています。中国では国策として偽物を減らすよう努力していますが、大規模工場ではともかく、義烏のように小規模工場や卸売業者が集まる街ではそんな意識は誰一人持ち合わせていません。中国に住んでいる実感としては、この国から偽物がなくなることは永遠にないような気すらします。それくらい偽物や違法商品に対する抵抗感が、国民一人ひとりにわたってありません。義烏発の偽物は、中小企業や個人にとってももはや他人ごとではないのです。

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